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最適化への新設計論

【Flow Designer Enterprise Edition】に搭載された【Adviser】モジュールは『逆解析手法』を利用した『最適化』のための次世代の熱流体解析支援ツールです。 逆解析を実行すると解析モデルにおいて設計目標を達成するためには、どの設計パラメーターが一番影響が大きいのかを『感度』という指標で表します。  設計者は逆解析により得られる『感度』から「経験を要することなく」主要な設計パラメータを特定することができます。計算負荷についても現状の設計案に対する解析(順解析と呼びます)と逆解析の2回の計算で済むため、大幅に作業時間を削減することができます。

これまでの問題

従来の熱気流解析ツールを設計に活用する場合、設計者自らが設計パラメータを選定し、幾パターンもの計算を経て設計目標を満たす結果を求める必要がありました。  パラメータ数に比例してパラメータスタディ(試行錯誤)にかかる時間は飛躍的に増大します。設計パラメータの影響度(感度)を知るためには、設計パラメータ数に応じた回数の計算を繰り返す必要があり、この作業が膨大な時間を費やすことになるのが実情です。設計支援ツールとして日常の業務のなかで最適化の検討を行うには、この計算試行回数に費やす時間の問題を解決する必要がありました。

ノンパラメトリック逆解析について

上記の問題を解決するため、アドバンスドナレッジ研究所では、新たに大阪大学との共同研究により開発を行った新しい概念による『逆解析』ソリューションを提案します。『逆解析』計算手法を採用したFlow Designerエンタープライズ版は『ノンパラメトリック』に感度解析を実行します。ノンパラメトリックとは、パラメータスタディに基づかない解析方法を意味します。ある1つの計算結果を元にして従来の因果律を反転し、設計目標と現状の差分情報を原動力として、全設計空間上の設計パラメータの改善方向と強さを求める計算方法です。

その結果は『感度』という表現でビジュアルに表わされます。感度とは設計パラメータの計算結果に対する影響度と見ることができます。  つまり感度が高く表示される箇所は目標を到達するために大きな影響を与えるパラメータと見ることができるため、高感度と表示された設計パラメータから設定値を検討していくと、効率良く設計目標に近づけることができます。

ノンパラメトリック逆解析の原理

 図1に示す簡単なモデルは左壁で加熱し右壁で冷却、また上下壁面は断熱とする2次元熱対流場です。 設計目標とするターゲットはこの矩形領域の中心に設置されています。そして、ターゲットの温度を、加熱面や断熱面を追加することによって上昇させたいものとします。 そのような場合、どこを追加加熱すればもっとも効率がよいでしょうか。従来の解析だけを用いた方法ですと「試行錯誤を繰り返す」「追加加熱したい条件を仮定し、パラメータスタディを行う」等の必要があり、非常に多くの試行解析を必要とします。



これに対して逆解析では、上述したように設計目標の確認という因果律を反転します。この例では周囲の境界条件に従ってターゲットの温度が決まります。そこで、この因果律を反転して、設計目標との差分情報をターゲットから発生させ、この情報を元に因果律を反転させた質量、運動量及びエネルギーの輸送方程式を解くことにより、白紙状態の加熱面、断熱面へ伝達します。その結果、この例では矩形領域の左下部分にもっとも強い差分情報が伝達されていることがわかります。



図に示す結果は、ターゲット温度を目標に近づけるためにには、下面中央部よりもやや左側の部分を加熱することが最も効果的であることを示しています。 図2の【感度】の影響度の効果を計るために図3例のような検証をします。

図 3 加熱位置の違いによるターゲット温度上昇度合いの検証

初期温度場 左壁加熱量増加 最適位置追加加熱
(Q = 1.5, Ttag = 1.0) (Q = 1.0, Ttag = 1.34) (Q = 1.5, Ttag = 2.0)



図1に示した左壁加熱面の発熱量を5割増加させてもターゲットの温度は3割程度の上昇しか見られません。これに対して逆解析機能で得られた『最適加熱位置』に同じ発熱量を追加加熱するとターゲットの温度は2倍にもなります。 このように逆解析を用いますと、加熱面や断熱面の再分割といった設計パラメータを設定することなく全境界面の発熱量変化の影響を得ることができます。 項目 逆解析に基づく感度解析 順解析に基づく感度解析 解析方法 設計目標を入力して因果律を 反転したシミュレーション 経験的な予測や パラメータスタディ パラメータの決定時期 感度解析後 感度解析前 解析回数 2回(順解析+逆解析) 制御量の数  × 制御点の数 得られる感度 全設計境界上の全制御可能量 設計パラメータ位置の定義制御量に対する感度 設計依存性 非依存(ノンパラメトリック) 依存(パラメトリック) 発熱量に対する感度以外にも全境界面における流速の影響も同時に得ることができます。

項目 逆解析に基づく感度解析 順解析に基づく感度解析
解析方法 設計目標を入力して因果律を 反転したシミュレーション 経験的な予測や パラメータスタディ
パラメータの決定時期 感度解析後 感度解析前
解析回数 2回(順解析+逆解析) 制御量の数  × 制御点の数
得られる感度 全設計境界上の全制御可能量 設計パラメータ位置の定義制御量に対する感度
設計依存性 非依存(ノンパラメトリック) 依存(パラメトリック)

逆解析使用例

【Adviser】を使用して解析モデルの最適化を検討した例を紹介します。 壁障害物により解析空間を2つの領域に途中まで区分けられた解析空間があります。

解析モデルの条件
吹出 :左側の3か所より冷風
吸込 :右奥の壁面1か所
温度条件 :温度及び熱通過率条件、夏場の窓付近を想定
ターゲット :手前2か所赤枠内
目的
2つのエリアの窓付近のターゲットの温度を均一にすること

図 4 解析モデル

図 5 順解析結果

仕切り壁より右側の領域で高い温度分布を表す傾向が確認できます。

感度解析を実行すると仕切り壁左側奥に高い感度が現れました。

高い感度を表していた箇所に吸込みパネルを配置した結果を表します。 ターゲット温度が近いレベルになりました。

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