設計の試行錯誤を変えた、新たな熱流体解析ソフトウェア

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基礎編1. 熱伝導1.1 軸方向熱伝導(2) - 逆解析

逆解析

FlowDesignerの逆解析では、「熱伝導率感度」を表示することができます。
「熱伝導率感度」の分布から、伝熱改善のための総合的な判断が簡単にできるようになります。
※「感度」とは、設計目標に対する境界条件などの影響度合いを表す指標です。FlowDesignerでは設計目標値と
 その場所を「ターゲット」で指定します。


熱伝導の設計課題に対して改善案の検討を行うとき、温度分布や熱流束分布などの単一的なとらえ方では、伝熱改善の総合的な判断が困難な場合があります。
 そのような判断が難しい場合でも、
逆解析」を使うと伝熱改善の良策が簡単に見つかります!

コラム

熱伝導問題は総合的な判断が難しい

熱伝導問題において、A点からB点間に発生する温度差を小さくするためにはA-B間で熱が多く流れる箇所の熱抵抗を小さくする必要があります。
熱が多く流れる箇所は熱流束分布から見ることができ、熱流束の大きな箇所は熱抵抗を改善する大きなポイントとなります。 しかし、熱流束分布に注目するだけでは、最適な改善案を得ることができない場合があります。

例えば、熱が伝わる棒の断面積が、途中から小さくなるものがあるとします。
断面積が小さな部分は熱流束が大きく表示されるので、その部分を熱伝導率の大きな材質に換えれば(熱抵抗を小さくすれば)、全体の温度差は小さくなります。
 一方、断面積が変わらない棒であれば熱流束分布に変化がないため、
どこまで改善するのが最適なのか、わからないことになります。

断面積が途中から1/2の大きさになった場合、断面積が小さい部分の熱伝導率を2倍にするまでは上記方法(熱流束の大きい部分のみ熱伝導率を大きくする)が 改善のための良策と言えますが、熱伝導率が2倍以上となると、 断面積の大きな部分の単位長さ当たりの熱抵抗が大きくなるため、 今度は、断面積の大きな部分の改善が良策となり、一概に判断することが難しくなります。

熱伝導率感度で改善案を探そう

例1:断面積が途中から小さくなる(1/2となる)熱伝導問題

ターゲットの温度を下げることを目的に改善案を探します。

① 熱伝導率が[断面積 大][断面積 小] 共に同じ場合(熱伝導率一定)

FlowDesigner解析結果
FlowDesigner逆解析結果
  • 断面積の小さな部分が赤色表示され、熱伝導率の改善を指示しています。
  • 断面積の大きな部分が緑色表示され、改善点ではないことを指示しています。

⇒ 熱抵抗が大きい[断面積の小さい]部分に改善を指示しています。

② [断面積 小]の熱伝導率が[断面積 大]の3倍ある場合(熱伝導率一定)

FlowDesigner解析結果
FlowDesigner逆解析結果
  • 断面積の大きな部分が黄色表示され、熱伝導率の改善を指示しています。
  • 断面積の小さな部分が緑色表示され、改善点ではないことを指示しています。

⇒ 熱抵抗が大きい[断面積の大きい]部分に改善を指示しています。
※Columnで述べたように「① 熱伝導率が[断面積 大][断面積 小] 共に同じ場合」の例と、
 改善箇所が異なることがわかります。

例2:L字型の熱伝導問題

ターゲットの温度を下げることを目的に改善案を探します。

FlowDesigner解析結果
FlowDesigner逆解析結果
  • コーナー内側が赤色表示され、熱伝導率の改善を指示しています。
  • コーナー外側が緑色表示され、改善点ではないことを指示しています。
  • コーナー以外の全体の領域は黄色表示され、熱伝導率の改善を指示しています。

⇒ ターゲットの目標達成には、感度自体の強弱は勿論ですが、
  改善が指示されている範囲の大きさも重要となります。
  従って、今回は面積が大きい黄色表示部分が、
  熱伝導率を改善する重要ポイントとなります。

補足

  • 断面積急変エッジ部や、L字型コーナーの内側が赤色表示となるのは、この部分の熱流束が異常に大きいためです。
    エッジではなくR処理すると、Rが大きいほど熱流束が緩和され、温度が改善される傾向になります 。
  • 熱の流れ(熱流)は流体のような慣性力を持たないため、単純にショートサーキット的な熱流ルートを流れます。
    そのため、熱流がイン側コーナー部に集中し、逆に、アウト側コーナー部では熱流が小さくなり、伝熱改善ポイントではなくなる傾向になります。
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